Intelligent Systems

and

Control Laboratory

since 2007


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研究室のご紹介

安野・鈴木研究室(SKYLAB)は,徳島大学理工学部理工学科電気電子システムコースに所属している研究室です.研究室の大学院生は,創成科学研究科・理工学専攻・電気電子システムコースに,学部生は理工学部・理工学科・電気電子システムコースに所属しています.安野研究室は,鈴木研究室から鎌野研究室を経て平成19年4月に発足しました.発足当時から,研究室のニックネームもSKYLABを継承しています.

研究は,「知的情報処理機能の工学的応用」を大きな目標に掲げ,ロボットシステム,自然エネルギー利用システム,介護・福祉システム,農業支援システムを具体的な研究対象として,4つの研究チームを設けて推進しています.

ロボットチーム
自律型移動ロボット,群ロボット,自律自動運転車輌,脚式ロボット,同期・協調制御システム,ホッピングロボットなど
農業支援チーム
防除ロボット,農作業支援ロボット,環境計測・制御システムなど
自然エネルギーチーム
風力発電システム,太陽光発電システム,日射量予測システム,風速・風向予測システムなど
医療・介護・福祉チーム
運動計測システム,歩行支援装具,電動車いす,視覚障がい者支援など)

各チームの研究プロジェクトは,学術的な基礎研究に基づく応用研究に重点を置いて進めています.

世の中は第3次人工知能(AI)ブームの真っただ中にあります.このブームは,これまでにはなかった新たな仕事の創出により産業構造も大きく変えるかもしれず,第4次産業革命とも言われています.

研究室では,1980年代の第2次AIブームの後半からニューラルネットワーク(NN),ファジィ,遺伝的アルゴリズム(GA)といった「ソフトコンピューティング」に関する研究に取り組み,「知的情報処理機能の工学的応用」を大きなテーマに掲げて研究を続けてきました.特に,社会のニーズに応えられる応用研究に重点を置き,科学と技術の懸け橋となる工学(モノづくり)技術の向上に努めています.

研究室ロゴの中央に示す5角形は,研究室発足当初に設けられた5つの研究チームが互いに協調し,すべての研究チームが同様に発展できるようにとの思いが込められています.令和4年度からは,社会の動向や学生の興味などを考慮して研究チームを見直し,4つの研究チームに分けて研究活動を進めています.

研究室では,研究成果は広く一般に公開すべきであるとの考えのもと,各種学術誌への論文投稿や学会発表はもちろんのこと,各種展示会や大学祭,科学イベントなどへの出展も積極的に取り組んでいます.

また,大学という高等教育機関に所属している研究室であることから,将来を担う若者(保育園児から社会人まで)に対する科学や工学(モノ作り)への動機付けや啓蒙活動,リカレント教育も含めた幅広い層の人材育成にも取り組んでいます.

知的情報処理機能の工学的応用により

世の中を超スマートな社会に!

中山間地域での自動運転の実現を目指して

高齢ドライバーの認知機能の低下や誤操作が原因の交通事故が増え,高齢者の免許返納が進んでいます.しかし,交通インフラが十分整備されていない中山間地域では,自動車は生活に欠かせない移動手段の一つであり,早期に代替手段を確保することが求められています.コスト面(費用対効果)を考えると今後もインフラ整備が進むとは考え難く,自動運転技術に期待が寄せられています.

研究室では,中山間地域での利用を想定した小型電気自動車の自動運転技術の研究を進めています.中山間地域は,都市部と違って環境から能動的に様々な情報を受け取ることが困難です.また,障害物の有無や路面状況の認識にも様々な制約があります.さらに,道幅も狭く路面勾配も複雑です.このように,自動運転技術の適用には多くの課題が山積しています.我々は,徳島(地方)ならではの事情を考慮した安心・安全な自動運転システムの構築を目指し,大学の研究クラスター(指定)の一部として研究用車両を試作し,課題解決に向けて取り組んでいます.

人にやさしい
人間親和型の福祉機器の開発を目指して

少子高齢化が進む中、介護される側とする側の両方にモノづくりで何か貢献できないかという思いを強く持っています.そこで,知的モーションコントロールの知見を活かして,電動車いすの安全運転支援システム,介護者用腰関節パワーアシストスーツの研究を進めています.

近年,電動車いすは福利用途の枠を超えたモビリティーの1つとして注目を集めています.利用者も年々増加し,自動車と同様に安全を確保するシステムの実装が必要とされています.研究室では,操作者の意図を考慮しながら違和感なく(オートメーションサプライズを回避)常に安全な状態に導きながら走行可能な人間親和型の安全運転支援システムを提案しています.

また,介護現場では介助者の身体的負担が問題となっています.特に,腰痛に悩まれている方が多く,その負担軽減が求められています.研究室では,機械的受動要素であるバネと能動的要素であるモータを組み合わせて筋肉を模擬し,上体の加速度情報を用いて適切なタイミングで腰をアシストする腰関節用パワーアシストスーツの研究を進めています.現在は,研究室で保有しているモーションキャプチャシステムや試作した運動状態計測システムを用いて,ベッドと車いすの間での移乗介助動作におけるアシスト効果を検証しています.

スマート農業による
農業従事者の負担軽減を目指して

介護分野に限らず農業分野においても少子高齢化は深刻な問題です.そこで,IT(Information Technology)やRT(Robot Technology)を活用したスマート農業の導入が進められています.徳島大学は徳島県や企業と連携協定を結び,石井町のアグリサイエンスゾーンにおいてスマート農業の実証試験を進めています.研究室はこの事業に参画し,大規模な施設園芸ハウス内の温度や湿度などを時空間的に高分解能でモニタリング可能なリアルタイム3次元空間環境モニタリングシステムを提案・試作し,データの蓄積を進めています.また,農業従事者の作業負担軽減を目的として,大規模ハウス内を自律的に走行可能な防除(農薬散布)ロボットや,作業者に自律追尾しながら運搬支援を行う農作業支援ロボットの研究・開発も進めています.

気象予測による電力の安定供給を目指して

太陽光発電や風力発電は、出力が気象状況に応じて大きく変動するため、電力系統に大量導入された場合は需給バランスが崩れ、電力品質の低下を招く恐れがあります。もし、風速や日射量などが予測できれば、火力発電や水力発電の出力調整によって需給バランスを調整できるようになり、電力品質の維持および発電コスト低減に繋がります。

研究室では、機械学習を用いて気象衛星画像や観測日射量から日射量を推定・予測する手法や、数値予報データと観測風速などから風速・風向を予測する手法について研究しています。

研究室保有設備

研究室が保有している設備の一部は以下の通りです.

実験システム
モーションキャプチャシステム(OptiTrack Japan:OptiTrack)
施設園芸研究用パイプハウス(3✕4✕10 m)
電気自動車(トヨタ:コムス)

ソフトウェア
制御系設計CAD(MathWorks:MATLAB,Simulink)
パワーエレクトロニクス回路シミュレータ(Mywayプラス:PSIM)
筋骨格モデルシミュレータ(テラバイト:AnyBody)

工作機械
CNCフライス盤(旋盤市場:PSF550-CNC)
基板加工機(LPKF:ProtoMat E33)
3Dプリンター(MUTOH)
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