Research

 

キノコの研究

 キノコの中でも, マツタケ等が属する外生菌根菌と, シイタケ等が属する木材腐朽菌について研究を進めています.
 これら菌類は森林形成に必須の働きをしており, 外生菌根菌は樹木に共生し, 樹木に水分やミネラルを供給する一方で, 木材腐朽菌は倒木, 落枝の木材細胞壁を分解し, 土壌の腐植形成に導いています. 森林形成に必須のこれら代謝機能を生化学, 分子生物学, 有機化学をもとに解明しています.
 また, 全国的に拡大している放置竹林の問題を解決するため, タケ(竹)の木質を利用したキノコ(シイタケなど)の菌床栽培にも取り組んでいます.

  1. 香生合成機構の解明
    • マツタケの香り成分である(E)-ケイ皮酸メチルの生合成経路の解明
  2. 有機酸生合成機構の解明
    • シュウ酸生合成機構の解明(細胞壁分解, 土壌中のリンの可溶化など)
  3. 菌による森林保全とスギの高付加価値化
    • 菌の特性解明によるヒノキ林の健全な育成の検討
    • スギ大径材乾燥条件の検討による高機能化
  4. タケ木質を利用したキノコの菌床栽培(徳島県との共同研究)

樹木(草本も含む)の研究

 樹木は成長とともに心材を形成します. この心材には抗菌成分が多く蓄積し腐りにくいという特徴を持っており, 昔から建材などに利用されています. 心材に特異的に蓄積する抗菌成分の一種であるノルリグナン類は, 心材形成と連動して生合成されますが, 同生合成に関与する遺伝子は解明されていません. ノルリグナン類の生合成に関与する遺伝子を見つけ出すことができれば, 連動して動く心材形成に関わる遺伝子群も見出せると期待されるため, 未だ謎の多い心材形成機構解明の糸口となると考えています.

 よく似た名前の成分であるリグナン類は, 多くの植物種に広く分布しており, 様々な有用生理活性を示すものが多く存在します. リグナン類の中には, 抗がん剤の原料に利用されるポドフィロトキシンなど希少な物質がありますが, それを生産する植物は限られており, 近年個体数が激減しています. 将来的に, 菌などを活用した生物工学的生産を実施するため, 現在, 生合成に関わる遺伝子について研究しています.

 また, 新野キャンパスが位置する徳島県阿南市は, 徳島県全体の竹林の約45%が集中しています. 当研究室では, 植物バイオマスとしてのタケの有効利用にも現在取り組んでいます.

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